製薬会社の分析業務ってこんな感じ
仕事術とは関係ない話ですが、ブログを書いていく上で
私が働いていた製薬会社での仕事内容に触れる機会があるかもしれないので
物凄く簡単に触れてみたいと思います。
イメージは「化学の実験」です。
薬の原料や、製品になった薬を「その原料使って大丈夫?」「この薬、出荷して大丈夫?」
というのを化学的に評価する仕事です。
製薬会社には全世界共通で
「GMP(Good Manufacturing Practice)」と「日本薬局方」と呼ばれる
2つの大きなルールがあります。
<GMPとは>
このGMPには、3つ原則があります。
・人為的なミスをなくそう
・薬の劣化や汚染を防ごう
・高度な品質を保つためのシステムを作ろう
簡単に言うと「ちゃんとしたルール作って、それ絶対に守ろうね」
と言ってるわけです。
例えば、自宅で作るカレーと、友達の家で作られているカレーって
全く同じものですか?味はカレーでも、たぶん全く同じではないですよね。
調理の工程、牛肉なのか豚肉なのか鶏肉なのか
カレー粉のメーカーの違い等々色々な違いがあります。
それが薬で起きてしまうと困るわけです。
注:ジェネリック(後発品)などは、厳密に言うと先発品との違いは多少あります。
同じ会社のA工場とB工場で作った製品の品質が違うとか
同じ製品を評価する時にC社とD社で違う評価方法を用いているとか
同じ手順で分析しているのに違った結果が出てくるということがあれば
「安全な薬を提供できている」とは言えませんよね。
そういうことをなくしましょう。というのがGMPなわけです。
<日本薬局方とは>
↓これが日本薬局方です(ネット上でも観ることができます)
主に載っていることは、各物質の試験のやり方や言葉の意味が載っています。
みなさんが一般的に聞く薬品だと、消毒に使う「エタノール」や
風邪薬に入っている「アスピリン」等々の試験のやり方が書かれているわけです。
また、言葉の意味というのは
「アスピリンを約1g秤り、直ちに水に溶かす」という文章があるとします。
約ってどういうこと?直ちに?こういう言葉は曖昧ですよね。
こういう言葉の意味が書かれてあるのです。
ちなみに、「約」は書かれている数字の±10%ということで
「直ちに」は、操作が終わった後、30秒以内に次の操作をしなさい。
ということです。
つまり、最初の文章は
「アスピリンを0.9g~1.1gの範囲で秤り、秤り終えたら30秒以内に水に溶かせ」
と言ってるわけなんです。
日本薬局の試験法には、このように細かく書かれているわけではないので
各会社さんは、日本薬局方を元に、細かい注意書きを盛り込んだ手順書を作っていきます。
余談ですが
数年前に水虫の飲み薬に睡眠導入剤が混入した事件を知っていますか?
これは、ルールを無視したために起きた事件の良い例だと思います。
・手順書通りに作業していなかった
・2人作業で行うべきところを、1人で行なっていた
最初に手順書通りに作業していなかったことは大問題ですが
もし2人で作業してチェックしていたら防げていたかもしれません。
こういう事件や事故を聞くとよく思うことがあるのですが
危険な物を扱う仕事は「まじめな人が扱わないと危ないよね」って
凄く思います。
例えば、医者が不真面目であれば薬は自由に使えてしまいます。
「管理を徹底すれば大丈夫でしょ?」となるかもしれませんが
患者もグルになれば、問診から薬の受け渡しまで
なんの違和感もなく事は進むと思います。
最近の世の中を見ていると「マジメに生きる」というのは
そんなに難しいことなのか?とつくづく考えさせられます。